【不動産を相続するまでの流れ】
1.本人(=被相続人)死亡(相続発生)
2.通夜・葬儀
3.遺言書有無の確認
相続が発生した場合、遺言書があれば基本的にその記載に沿って相続が行われます。無い 場合は、相続人の遺産分割協議や法定相続分に則って相続が行われます。
4.相続人の確定
相続が発生したら、早めに相続人を確定させる必要があります。被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本を取り寄せて調べます。
※「相続人」とは・・民法では相続人の範囲と順位について次の通り定めています。
参考:国税庁「タックスアンサーNo.4132 相続人の範囲と法定相続分
・被相続人の配偶者は、常に相続人となります。
・以下の人は、以下の順位で配偶者とともに相続人となります。
〈第1順位〉相続人の子(子が被相続人の相続開始以前に死亡しているときなどは、孫(直系卑属)が相続人となります=代襲相続)
〈第2順位〉被相続人に子や孫(直系卑属)がいないときは、被相続人の父母(父母が被相続人の相続開始以前に死亡しているときなどは、被相続人の祖父母(直系尊属)が相続人となります)
〈第3順位〉被相続人に子や孫(直系卑属)も父母や祖父母(直系尊属)もいないときは、被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が被相続人の相続開始前に死亡しているときなどは、被相続人のおい、めい(兄弟姉妹の子)が相続人となります=代襲相続)
※法定相続分は以下の通りです
配偶者のみ・・1
配偶者と子・・1/2ずつ
配偶者と直系尊属(父母)・・配偶者2/3、直系尊属1/3
配偶者と兄弟姉妹・・配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
5.財産目録を作成する
相続人を確定させるとともに、被相続人の財産を特定して財産目録を作成します。相続財産に不動産があるかどうかは市区町村から届く固定資産税・都市計画税の納税通知書を確認します。また、市区町村から「名寄帳」を入手すればその市区町村で被相続人が所有する不動産情報が一覧できます。納税通知書がなければ、所有不動産があると思われる市区町村で名寄帳を調べます。
6.相続の選択・・単純相続、相続放棄または相続限定承認(相続の開始を知った時から3ヵ月以内)
7.被相続人の所得税準確定申告・・被相続人が自営業・不動産所得があった場合等(4か月以内)
8.遺産分割協議を行う
遺言書があれば、原則として遺言書に沿って相続しますが、ない場合は相続人全員で遺産分割協議を行います。この協議で分割内容の合意がなされたら、被相続人の誰がどの相続財産をどんな割合で相続するかを記載する「遺産分割協議書」を作成します。
9.不動産の相続登記を行う
不動産を相続するには、相続登記をすることで被相続人から相続人へ名義が変更されます。
※令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。
〈相続登記義務化のポイント〉
①相続したことを知った日から3年以内に登記!
※正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
②義務化前の相続も対象!
※義務化前に相続したことを知った不動産は、令和9年3月末までに登記する必要があります。
10.相続税の申告・納付
相続税の申告・納付の期限は、相続開始を知った日から10か月以内となっています。期限内に申告・納付できないと相続税に関する特例の適用ができなかったり、滞納税がかかる可能性があります。
11・遺留分侵害額請求・・相続に関しトラブルがあった場合のみ(1年以内)
【不動産を分割する方法】
1.現物分割
現物分割とは不動産をそのままの形で相続する方法です。相続人が複数いるときは分筆する必要もあります。この方法が向いている例としては、面積の広い土地を現物分割する場合などです。
他の例)2人の相続人が2つの不動産を1つずつ相続する。不動産を売却して売却代金を相続する方法に比べ簡単ですが、評価額の異なる不動産を現物分割する場合は代償分割を併用したほうが不均衡は発生しません。
2.代償分割
代償分割とは、現物で相続財産を取得した相続人が、他の相続人に対して代償財産を支払う方法。この方法が向いている例としては分けにくい財産を平等に分けたい場合などです。
例)被相続人の2人の子供が相続人で相続財産が評価額3,000万円の不動産のみという場合、代償分割で均等に相続するとすると、1人が不動産を相続し、もう1人に1,500万円の代償金を支払うことになります。但し、当事者間の合意があれば代償金の額は均等である必要はありません。
3.換価分割
換価分割とは、不動産を売却して現金化し、それを相続人で分割して相続する方法。
換価分割は、相続人が不動産での相続を望んでいない場合や、相続税の資金が用意できない場合などでよく利用されます。
例)売却価格3,000万円の不動産を、相続人の2人の子供が均等に分割する場合1,500万円ずつ相続
4.共有名義
複数の相続人が共有名義で相続する方法。
この場合、各相続人が所有する割合を共有持分として設定し登記します。この方法で注意したいのは、相続不動産を売却する際に、共有名義人全員の意思決定や売却への同意が必要だったり、共有名義人全員の署名捺印が必要だってり、共有名義人が亡くなって、その子供が代襲相続したときに相続人間で揉めたりすることも考えられることです。この方法は、他の分割方法が取れないときに取る最後の手段になりがちです
【不動産を相続する際の評価方法】
不動産を相続する際には、その不動産の評価額を知る必要があります。相続税申告の際に使われる不動産評価額は、購入時の価格や建築費用ではなく時価評価となります。
不動産評価額の基準となるのは、土地であれば「路線価」、家屋であれば「固定資産税評価額」です。
◆土地の評価方法
土地の評価額は、基本的には路線価を基準とする「路線価方式」で評価しますが、路線価がない地域は「倍率方式」で評価します。
◎路線価方式
路線価とは、土地が接道する道路ごとに設定された土地の価格で、国税庁の路線価図・評価倍率表で調べます。
この路線価を基準に評価額を算出する方法を「路線価方式」といいます。
路線価は1㎡あたりの価格が千円単位で記載されており、「350A」と記載されていれば、1㎡の価格は35万円です。これに、地積や道路からの奥行等で価格補正してその土地の評価額が決まります。尚、借地権の評価額は、その土地の評価額に借地権割合を掛けて算出します。借地権割合は、路線価の数字の後にアルファベットで記されており、借地権割合90%のAから借地権割合30%のGまで10%刻みで設定されています。
〈路線価図・評価倍率表〉 https://www.rosenka.nta.go.jp/
◎倍率方式
倍率方式とは、路線価が設定されていない土地の評価額を算出する方法です。固定資産税評価額を基準に、その土地に設定された倍率を掛けて算出します。
倍率も国税庁の路線価図・評価倍率表で調べられます。
〈路線価図・評価倍率表〉 https://www.rosenka.nta.go.jp/
◆家屋の評価方法
家屋は、固定資産税評価額がそのまま相続時の不動産評価額になります。固定資産税評価額は、毎年4月頃送られてくる固定資産税・都市計画税納税通知書に記載されています。手元に納税通知書がない場合は、市区町村役場の窓口でも確認できます。
【相続税の計算式】
相続税を計算する流れは以下の通りです。
◆1.正味の遺産額を計算する
正味の遺産額:全ての財産―非課税財産―債務など+一定の贈与財産・・A
- ・全ての財産・・不動産、預貯金、現金、株式等有価証券など
- ・非課税財産・・お墓、生命保険金、死亡退職金等
- ・債務など・・被相続人の借金、未払金、葬式費用等
- ・一定の贈与財産・・相続開始前3年以内の贈与財産、相続時精算課税制度の対象となった贈与財産
◆2.基礎控除額を計算する
〈基礎控除額の計算式〉
基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の人数・・B
◆3.課税遺産総額(相続税の対象となる財産)を計算する
課税遺産総額:正味の遺産額(A)-基礎控除額(B)・・C
※課税遺産総額がマイナスまたはゼロの場合相続税はかかりません。
※各相続人の相続額によって10%~55%の相続税がかかります。
区分 税率 控除額
1,000万円以下 10% –
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
【相続登記にかかる費用】
不動産を相続する際には、相続税以外にも以下の相続登記に関する費用がかかります。
〈登録免許税〉
登録免許税:固定資産税評価額(下3桁切り捨て)×0.4%(税率)
※算出した金額の下2桁は切り捨て
〈登記事項証明書などに関する費用〉
- 登記事項証明書(不動産1件につき600円)、戸籍謄本、住民票などを取得する費用、書類郵送費
※遺産分割協議書作成や相続登記手続きを司法書士に依頼する場合は、別途司法書士報酬も必要となります。
【不動産相続で使える控除・特例】
無条件で使える基礎控除以外にも様々な控除・特例が有ります。それら控除・特例の条件にご自身が該当するかどうかは税理士に依頼した方が信頼でき確実です。
◆基礎控除
基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の人数
参考:国税庁「タックスアンサーNo.4152 相続税の計算」
◆小規模宅地等の特例
被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等がある場合には、一定の要件の下に、相続税の課税価格に参入すべき価額の計算上、一定割合が減額されます。
参考:国税庁「タックスアンサーNo.4124 小規模宅地等の特例」
◆配偶者の税額軽減
被相続人の配偶者の課税価格が1億6,000万円までか、配偶者の法定相続分相当額までであれば、配偶者に相続税はかかりません。
参考:国税庁「タックスアンサーNo.4158配偶者の税額の軽減」
◆贈与税の基礎控除
暦年贈与の場合、年110万円までは贈与税が非課税になるため、年110万円を超えないように贈与することで遺産総額を減らし、相続税対策をすることが出来ます。
参考:国税庁「タックスアンサーNo.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
◆未成年者の税額控除
法定相続人が満18歳未満だった場合に、いくつかの条件を満たすことで、相続税から一定額が控除されます。その額はその未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。
参考:国税庁「タックスアンサーNo.4164 未成年者の税額控除」
◆障害者の税額控除
相続人が85歳未満で、障害を持っていた場合に、いくつかの条件を満たすことで、相続税から一定額が控除されます。その額は、一般障害者の場合は満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき10万円で計算した額です。なお、特別障害者の場合は1年につき20万円となります。
参考:国税庁「タックスアンサーNo.4167 障害者の税額控除」
◆相次相続控除
相続開始から10年以内に新たな相続が発生した場合、2度目の相続でかかる相続税額から一定額が控除されます。相次相続控除は、前回の相続において課税された相続税額のうち、1年につき10パーセントの割合で逓減した後の金額を今回の相続に係る相続税額から控除するものです。
参考:国税庁「タックスアンサーNo.4168 相次相続控除」


